AV情報家電 家電製品アドバイザー(エグゼクティブ等級)でオーディオ歴40年以上のyacchiです。
よくサウンドバーやAVアンプなど、またDVDやブルーレイソフトなどに音声対応フォーマットの記載が色々とあります。
それぞれがどういうもので、どう音質の違いがあるのか、分かりにくいかと思います。
そこで今回は音声フォーマットをまとめて解説していきます。
音声フォーマット 形式 解説
Dolby digital
米国ドルビーラボラトリーズ社が開発した音声データの記録方式です。
音声データの圧縮・伸張技術としてAC-3を採用し、5.1chサラウンドに対応します。
映画、DVD、ブルーレイディスク、各種家庭用ゲームソフトなどの音声記録に用いられています。
Dolby Digital plus
第3世代光ディスク規格(Blu-ray Disc・HD DVD)やアマゾンのKindle Fire HDなどのタブレットなどで使用されている次世代サラウンド規格です。
BDでは最大7.1chまで収録可能です。
BDに収録されるドルビーデジタルプラスでは、5.1chまではドルビーデジタル音声しか認められていないという制約があります。
これにより、ドルビーデジタルプラスが再生できない機器では、ドルビーデジタル(5.1chサラウンド)に変換することができます。
ドルビーデジタルプラスのデジタル転送(ビットストリーム出力)にはHDMI ver.1.3以降が必要となります。
データ容量に余裕ができたので、音声データのビットレートを上げることと圧縮技術を向上させることで音質を大幅に改善しています。
Dolby digital surround EX
ドルビーデジタルの拡張規格であり、後方中央の左右の音声信号が追加され、6.1チャンネルサラウンドに対応します。
Dolby Digital trueHD
今のBlu-rayの主流のDolbyフォーマットがDolby Digital trueHDです。
Dolby Digitalやplusでは非可逆圧縮技術が使用されています。
非可逆圧縮とは、データ量を少なくするため欠落や改変があるため、圧縮されたデータを復元しても圧縮前のデータには復元できない圧縮方式です。本来の音声とは異なり少しだけ音質が劣化します。
Dolby Digital trueHDでは可逆圧縮が採用されたので、データ量は増えますが、収録前の音声が完全に復元できます。
可逆圧縮とは、データの欠落が全く起こらず、理論上圧縮されたデータを復元すると圧縮前のデータに復元できる圧縮方式です。
そのため高音質です。
Dolby Atmos
ドルビーアトモスとは、水平方向のサラウンドに加え、さらに頭上からの音を加えることで、3次元で音に包み込まれるような効果を得られる方式です。
サラウンド再生方式には、チャンネルベースとオブジェクトベースの2つの方式があります。
よく耳にする、5.1chや7.1chのサラウンドはチャンネルベースの方式です。
ドルビーアトモスは、チャンネルベース方式のようにチャンネル数分の音を録音しているのではなく、オブジェクトベースという方式を採用しています。
オブジェクトベース方式は、車のクラクションや車の移動音、ヘリコプターの音、人も声などをオブジェクトとして捉えて、それぞれのオブジェクトの音に加えて位置情報もデータとして記録しています。
再生時にはこれらのデータからサウンドバーなどの再生機器側でスピーカーの数や位置に合わせて、最適な状態に音を調整して再生しています。
なのでオブジェクト方式ではスピーカー数の制限はなく、サウンドバーなどでも再生が可能になっています。
DTS
米国のDTS社が開発した、劇場用デジタル音声システムです。
DTSの方がドルビーデジタルよりも記録する際のデータ圧縮率が低く、ダイナミックレンジも広くなっており、その分高音質をうたっています。
DTS方式の音声再生には、DTS対応のAVアンプやサウンドバーが必要です。
以下にドルビーデジタルとDTSの比較を記載します。
ドルビー デジタル | DTS | |
---|---|---|
音声信号処理 | デジタル | デジタル |
記録・再生チャンネル数 | 独立5.1ch | 独立5.1ch |
信号圧縮率 | 約1/10 | 約1/4 |
ダイナミックレンジ | 約105dB | 約120dB |
DVDでの扱い | 標準 | オプション |
DTS-HD Master Audio
「DTS-HD Master Audio」は可逆圧縮(ロスレス)を採用し、この方式でフォーマットされた音声はスタジオで作製されるマスター音源をそのまま収録再生可能です。
DTSの拡張規格であり、マスターオーディオに対応していない機器でマスターオーディオのコンテンツを再生すると、非可逆圧縮のコアトラックの再生に低下します。
Blu-ray Discでは最大24.5Mbit/s、HD DVDでは最大18.0Mbit/s までの可変ビットレートをサポートしています。
2チャンネルのステレオモードでは、サンプリング周波数は最大192kHzで、サンプルの量子化ビット数(ビット深度 (音響機器))は24ビットです。
また、最大8チャンネルの多チャンネルモードでは、最大96kHz/24ビットとなります。
DTS:X
DTS:Xは、オブジェクトベースの3次元サラウンドに対応したサラウンドフォーマットです。
家庭用として最大32chサラウンドまでのサラウンドに対応します。天井スピーカーを設置しなくても、適切な立体音響を実現できるという特徴があります。
オブジェクトごとに音量を調整可能な規格のため、映画で聴こえにくい人のセリフの音量のみを大きくし、聴こえやすくすることが可能です。
DTS Virtual:X
DTS Virtual:Xは、天井スピーカーやイネーブルドスピーカーを使用せずに高さ方向の音も加えた3次元の音空間を実現する技術です。
バーチャルサラウンド技術の一種です。5.1chや7.1chサラウンドでも3次元の音空間を作り出すことが可能で、サウンドバーなどでこの技術を使用した機器があります。
チャンネル数 の表記
5.1chや7.1chといった表記は、スピーカーのチャンネル数(スピーカーの数)を表します。
前の1番目の数字は平面上のスピーカーのスピーカーの数を表します。
2番目の数字は、サブウーハーのスピーカーの数を表します。
ドルビーアトモスの表記の「5.1.2」、「5.1.4」、「7.1.2」、「7.1.4」など、表記の3番目の数字は頭上から音を出すためのスピーカー(天井またはイネーブルドスピーカー)の数を表しています。
DENON様 ドルビーアトモス体験記 より
まとめ
各種音声フォーマットをまとめてみました。
今後も新しい音声フォーマットが出てくるかと思いますので、都度改編していきます。
最近は、特にDolby Atmosフォーマットが注目を浴びています。
高さ方向の音も表現するため、より立体的な臨場感のある音場を再現できるためです。
ただ、実際にチャンネル数分のスピーカーを物理的に設置するのはかなりハードルが高いと思います。
最大のハードルは、スピーカーとスピーカーケーブルの設置の問題です。
家を新築するとか改築するとかのタイミングでないと、見栄えよく設置することは困難です。
我が家もリビングでのスピーカーケーブル問題で、リアスピーカーを撤去してしまいました。
この問題を解決する方法の一つとしてサウンドバー導入が、最近サウンドバー人気の理由の一つだろうと思います。
我が家は JBL BAR 1000 というサンドバーを導入しました。
1本のサウンドバーで、7.1.4chを実現しています。
イネーブルドスピーカーが内蔵されており、サウンドバーの両端をはずしてリワイヤレスアスピーカーとして物理的にリアに設置できます。
イネーブルドスピーカーは、天井にスピーカーを設置するのではなく、下から上向きに天井に音を反射させるスピーカーです。
JBL BAR 1000 でのサラウンド環境は、部屋が映画館になり今のところ大満足です。
それでは楽しいオーディオ・ビジュアルライフを!!
※この記事の内容はあくまで個人の見解で、間違っていたり、最新でない可能性があります。できるだけ公式サイトのリンクを貼っておきますので、正しい情報は公式サイトをご確認ください。
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