AV情報家電 家電製品アドバイザー(エグゼクティブ等級)のyacchiです。
IP等級は色々な製品資料やカタログに記載があったりします。
スマホとかイヤホンとかにもIP等級の設定があるものがあります。
簡単に言うと、防じん(ほこり・ちり)、防水(汗や雨などの水)にどれだけ耐えれるか、を試験した結果で表した共通の規格です。
例えば、
急な雨に降られてスマホが濡れてしまったけど問題ないか?
イヤホンで音楽を聴きながらランニングした際にイヤホンが汗で結構濡れてしまったけど問題ないか?
などの際に、どれだけスマホやイヤホンなどが水濡れに耐えれるかの基準が、IP等級で表されています。
等級の数値が高いほど耐えれる力が強い、ということになります。
防じんの耐性は最高レベルが6で、防水の耐性は最高レベルが8です。
最高レベルまでの間にいくつか段階があります。
実際、数字を見てもその数字がどういう基準なのか、中々分かりにくいかと思います。
そこで今回はIP等級について、まとめて解説します。
内容が分かったら、実際に製品資料などで確認してみてくださいね。
- たまにスマートウォッチなど腕時計系は、防水性能はIP等級ではなく、〇気圧防水などの記載になっていることがあります。
IP等級のIPとは
保護等級IPとは、機器の固形物や粉じん、また水滴や水などに対する保護を規格化しているものです。
IEC(国際電気基準会議)規格で規定されている機器の保護等級を記号で示したものです。
日本のJIS(日本工業規格)も準拠しています。
IPとはInternational Protection の略です。
IPコードの体系
下図のように第一特性数字が防じんに対する保護等級、第二特性数字が防水に対する保護等級を表しています。
第一特性と第二特性は、該当しない場合は、数字ではなくアルファベットのXに置き換えています。
防じん等級
保護 等級 | 要約 | 定義 |
---|---|---|
0 | 無保護 | - |
1 | 直径50mm以上の大きさの外来固形物に対して保護している | 直径50mmの球状の、固形物のプローブの全体が侵入※してはならない |
2 | 直径12.5mm以上の大きさの外来固形物に対して保護している | 直径12.5mmの球状の、固形物のプローブの全体が侵入※してはならない |
3 | 直径2.5mm以上の大きさの外来固形物に対して保護している | 直径2.5mmの固形物プローブが全く侵入※してはならない |
4 | 直径0.1mm以上の大きさの外来固形物に対して保護している | 直径1.0mmの固形物プローブが全く侵入※してはならない |
5 | 防じん形 | じんあい(ちり・ほこり)の侵入を完全に防止することはできないが、電気機器の所定の動作及び安全性を阻害する量のじんあいの侵入があってはならない |
6 | 耐じん形 | じんあい(ちり・ほこり)の侵入があってはならない |
- 外郭の開口部を、固形物プローブの全直径部分が通過してはならない
保護等級5級、防じん形(記号:IP5X)
粉じんが内部に入っても、動作に影響を及ぼさない構造です。
粉じんである細かな砂などが入らない構造であるという意味ではありません。
粉じんは入ってしまうが、機器の動作には影響が出ないといった程度です。
目視で砂などが入っていた場合は、取り出しておくことが好ましいです。
保護等級6級、耐じん形(記号:IP6X)
粉じんが内部に入り込まない構造です。
ただし、外部に付着していた砂粒などが、電池のふたや、メモリーカード挿入部のふた、CD挿入部のふたなどを開けたときに入ることが考えられます。
耐じん形では、基本的に使用中に砂粒などは入らないが、機器の取り扱いについては注意する必要があります。
防水等級
保護 等級 | 要約 | 定義 |
---|---|---|
0 | 無保護 | - |
1 | 鉛直に落下する水滴に対して保護する | 鉛直に落下する水滴によっても有害な影響を及ぼしてはならない |
2 | 15度以内で傾斜しても鉛直に落下する水滴に対して保護する | 外郭が鉛直に対して両側に15度以内で傾斜したとき、鉛直に落下する水滴によっても有害な影響を及ぼしてはならない |
3 | 散水(spraying water)に対して保護する | 鉛直から両側に60度までの角度で噴霧した水によっても有害な影響を及ぼしてはならない |
4 | 水の飛まつ(splashing water)に対して保護する | あらゆる方向からの水の飛まつによっても有害な影響を及ぼしてはならない 「生活防水」とも呼ばれる |
5 | 噴流(water jet)に対して保護する | あらゆる方向からのノズルによる噴流水によっても有害な影響を及ぼしてはならない |
6 | 爆噴流(powerfull jet)に対して保護する | あらゆる方向からのノズルによる強力なジェット噴流水によっても有害な影響を及ぼしてはならない |
7 | 水に浸しても影響がないように保護する | 規定の圧力及び時間で外郭を一時的に水中に沈めたとき、有害な影響を生じる量の水の侵入があってはならない |
8 | 潜水状態での使用に対して保護する | 関係者間で取り決めた等級7よりも厳しい条件下で外郭を継続的に水中に沈めたとき、有害な影響を生じる量の水の侵入があってはならない |
保護等級2、防滴Ⅱ形(記号:IPX2)
風呂場はキッチン、洗面所、アウトドアなど、水に濡れやすい場所でも使用することは可能です。
ただし、水蒸気や霧などは内部に侵入する可能性があるので、そのような状態で使用した後は機器を拭いて、なるべく乾燥した場所に置くか、通気の良い場所で乾燥させた方が良いです。
保護等級3、防雨形(記号:IPX3)
シャワーや雨に濡れても耐えられる程度です。
水はかかっても良いとされるが、数分程度であり、長時間であってはなりません。
保護等級4、防まつ形(記号:IPX4)
「生活防水」とも呼ばれます。
防雨形と同じ条件ですが、あらゆる方向からの水しぶきに耐えなければなりません。
雨に濡れたり、シャワーなどがかかっても使用できます。
保護等級5、防噴流形(記号:IPX5)
水道などの先から出る水流で、多少の水圧を受けても、機器が動作することが条件です。
しかし、内部に水が入る可能性があることも知っておく必要があります。
機器の使用後は、電池ケース内部なども含め、できるだけ水気を拭き取るなどの注意が必要です。
保護等級6、耐水形(記号:IPX6)
かなりの水流と水圧を受けても内部に水が入らない程度だが、水の中に入れることはできません。
かけ水での水洗いはできますが、水中での水洗いは行わないでください。
保護等級7、防浸形(記号:IPX7)
機器の外形寸法(高さ)によって、条件は以下の①または②になります。
- 機器の高さが850mm未満の場合
機器を水深1mの水中(機器の最下部を水面から1mの位置にする)に30分間沈めたとき、有害な影響を生じる量の水の侵入があってはなりません。 - 機器の高さが850mm以上の場合
機器の最上端から水面までの距離を0.15mとする水中に30分間沈めたとき、有害な影響を生じる量の水の侵入があってはなりません。
保護等級8、水中形(記号:IPX8)
あらかじめ定めた水深の水中に機器を沈めたとき、あらかじめ定めた時間内に有害な影響を生じる量の水の侵入があってはなりません、と規定されています。
機器によって定められた水深と時間は異なりますので、仕様書などで確認することが必要です。
JISC0920:2003 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
参考:腕時計の防水性能に関して
称 | 仕 様 | 表示例 | 用途/取扱い注意事項 |
---|---|---|---|
飽和潜水時計 (JIS2種 潜水時計) | 200m ~1000m 防水 | DIVER’S WATCH 300m FOR SATURATION DIVING | 表示されている水深(例:300m)までの潜水に耐える防水性を備えています。 潜水時間、減圧時間を測定するのに必要な回転ベゼルなどの装置付で、ヘリウムと酸素の混合ガスの呼吸気体を利用し、深海で潜水する時(飽和潜水)に使用する時計です。 |
潜水時計 (JIS1種 潜水時計) | 100m ~200m 防水 | DIVER’S WATCH 100m DIVER’S 100m | 表示されている水深(例:100m)までの耐圧性と長時間の水中使用に耐える防水性を備えています。 潜水時間、減圧時間を測定するのに必要な回転ベゼルなどの装置付で、ボンベに圧縮空気の呼吸気体を入れて浅海で潜水する時(スクーバダイビングなど)に使用する時計です。飽和潜水用に使用することはできません。 |
日常生活用 強化防水時計 (JIS2種 防水時計) | 20気圧 防水 | WATER RESIST 20BAR WATER 20BAR RESIST W.R.20BAR | 水上スポーツ(水泳・ヨット・つりなど)及び素潜り(スキンダイビング)をされる方にお使いいただけます。 飽和潜水用や空気潜水用に使用しないで下さい。 |
10気圧 防水 | WATER RESIST 10BAR WATER 10BAR RESIST W.R.10BAR | ||
5気圧 防水 | WATER RESIST 5BAR WATER 5BAR RESIST W.R.5BAR | 水に触れる機会の多い水仕事(漁業・農業・洗車・食堂など)や水上スポーツ(水泳・ヨット・つりなど)をされる方にお使いいただけます。 素潜り(スキンダイビング)及び飽和潜水用や空気潜水用に使用しないで下さい。 5bar以上の防水時計でも水圧の激しいシャワーや水道水が直接時計に当たらないようご注意下さい。 | |
日常生活用 防水時計 (JIS1種 防水時計) | 2~3気圧 防水 | WATER RESIST W.R. | 日常生活での汗や洗顔のときの水滴、雨などに耐えられるものですが、水仕事、水上スポーツ、素潜り(スキンダイビング)、潜水には使用しないで下さい。 水圧の変化が激しい条件では使用しないで下さい。 |
非防水時計 | 裏ぶたに、WATER RESISTの表示がないものは、直接、水に触れないよう注意してご使用下さい。 |
まとめ
今回は、IP等級についてまとめて解説しました。
スマホやイヤホンなどの機器を購入する際の参考にしてみてください。
それでは楽しいオーディオ・ビジュアルライフを!!
※この記事の内容はあくまで個人の見解で、間違っていたり、最新でない可能性があります。できるだけ公式サイトのリンクを貼っておきますので、正しい情報は公式サイトをご確認ください。
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